日帰り弾丸Washington,D.C.① National Gallery of Washingtonへフェルメールに会いに行く。
こんにちは。
今日は、月曜日に日帰りで行ってきたWashington, D.C.の旅について書こうと思います。
DCでは気温が26℃もあり、Tシャツ1枚で出歩ける暑さでしたが、今日のニューヨークも21℃。あれだけ冬が長く厳しいのに、春はあっという間にスキップ、もうサングラスが必須の日差しの強さです。
アメリカの首都であるDCはニューヨークよりも南に位置し、だいたい400km弱、車で4時間程度(渋滞しなければ)の道のり。
日本から遅れること半月、4月の上旬には桜が咲くため、渡米以来、この時期にDCに行くことが我が家の恒例となっています。
DCの桜はその昔、日本から日米友好のシンボルとして贈られたもので、この土日には桜まつりも行われています。
これは北米最大の日本フェスティバル。そしてどうやら桜を愛でる心は日本人だけではなく、アメリカ人も同様で、毎年物凄い賑わい、人出になっているのです。
というわけで、我が家は夫に有給を取ってもらい、月曜日にDCを訪れることにしました。そもそも日曜日はGreenwichを走ってましたから。
さて、400kmもの道程、東京からだと名古屋を越えたあたりの距離になるでしょうか?いくらアメリカの高速が発達しているとはいえ、なかなか日帰りは大変です。
朝は一応5時出発ね、と夫婦で就寝前に確認し合ったはずでした…
が、起きたら6:00(笑)
どうやら前日のハーフマラソンとベアマウンテンのバイク練で2人とも疲れて深い深い眠りに落ちており、どちらも目覚ましを止めて二度寝していたという…
あわてて出発するも、既に時計は7時をまわっており、スタートからして2時間のビハインドになってしまいました。
弾丸が超弾丸に‼︎
サービスエリアでのコーヒータイムを挟みつつ、正午前にはDCに着きました。
※奥に見えるのがthe capitol。
今回の目的はもちろん花見ですが、他、National Garally of Art、ナショナルギャラリーを見に行くこともそのひとつです。
DCの凄いところは、中心部にスミソニアン博物館をはじめ名だたるミュージアムが集まっており、さらにそのほとんどの入場が無料ということ!
しかし、この無料がさらに混雑を招いているため、これでDCを訪れるのは3度目になりますが、いまだミュージアムを訪れたことはありません。
今回が初訪問です、ナショナルギャラリー!
エントランスを入ってすぐ、花々に彩られたモニュメントに出迎えられます。
ここで夫とは別行動を開始。なにぶん弾丸日帰りツアーのため、時間がありません。
本来なら美術にはさほどの興味がない彼に若干の解説などつつ、見学したらよいのでしょうが、時間は限られているうえ、私には見たいものがあるのです。そして私は美術館はひとりで見る主義!
「じゃ、1時間後にこの広場でね」
非情な私は夫にそう言い置いて、一目散に目的の部屋に向かいました。
そう、このブログを読んでくださっている方はしつこく書いているので、ご存知でしょう。
私はフェルメールラバー!
このナショナルギャラリーにも4点のフェルメールがあるのです。
全36作品のうち、現在アメリカで見ることができるのが12点。そのうちの4、 1/3 ! 素晴らしい!(ちなみに残り8枚はニューヨークに全てあります)
The Dutch and Flemish Cabinet Galleriesと名付けられた小部屋にフェルメールはありました。
比較的小さな額の作品を配置した部屋。
まず、“手紙を書く女”。こちらは日本に来たのを見たことがあるので、再会になるのでしょうか。
続いて“天秤を持つ女”(左)と“フルートを持つ女”(右)。
“天秤を持つ女”は全くフェルメールらしい1枚で、窓辺から入る日差しで天秤に乗せた重りの煌きが“らしく”描かれています。
“フルートを持つ女”こちらは小さな作品でかつ、何というのか、顔が長くて鼻も長くて、のっぺりとしていて、ちょっとブス(笑)
何てこというんだよ、と言われるかもしれませんが、美術館の公式見解としても100%フェルメールだとは認定しておらず、“ATTORIBUTED”、…の作だとするとの単語が作者名の上に但し書きとしてついているのです。
あと、もう1枚…あれ…ない!!
“赤い帽子の女”がいない!
同じくこちらも“ATTORIBUTED”のつく作品。
「あ…どこかに貸し出しか修理かな」と思いましたが、一応Art Infoで尋ねてみることにしました。
上品な初老のマダムと気難しそうな豊かな眉のおじさまが座るインフォメーション。
下手な英語を話すのは嫌ですが、せっかく来ているのだから、と勇気を出して話しかけます。でもおじさまはなんだか怖いから、マダムの方に。
「 I couldn't find one painting... by Vermeer. woman wearing red hat...」
ちゅ、中学英語…(笑)
マダムは下手な私の英語にも嫌な顔をせず、フェルメールならこの部屋よ、とにこやかに地図を示してくれます。
「No.I already have seen them. I wanna see last one...」
マダムの表情に困惑が広がります…
その時、フェルメールのWordをキャッチした眉ふさのおじさまがくわっと目を開いて、満面の笑みで話に割って入ってきました。
「 Vermeer ?!」
お、貴方もフェルメールラバーなのですか。うん?私、なんかこの人見たことあるような…気のせいか。
おじさまによると“赤い帽子の女”はアントワープに貸し出し、on the loneとのこと。
日本からフェルメール好きの女が訪ねてきたことに気をよくしたのか、やたら親切にパンフレット類をくれ、1:30からイタリアルネサンス、ハイライトツアーをやるから、貴女もいらっしゃいと誘ってくれました。
ごめんなさい、何せ弾丸なもので時間がないんです…そしてイタリアにもルネサンスにもさほど興味ない…
眉ふさのおじさまとマダムに「残念だけど。また来ます…」とお礼を言って、のこりは美術館オススメのハイライトを見ることにしました。
それでですね、この眉ふさのおじさま、帰ってから正体が分かりました。以前、福岡伸一氏のプロジェクト、Re Creatについてこのブログで書いていましたが、福岡氏の著作に登場していたのでした。
あー‼︎フェルメールの世界的研究の第一人者とな。アーサー・K・ウィーロック氏。
普通にインフォメーションにいましたよ…何故だ、人出が足りなかったのか。
そりゃ、満面の笑みになったことにも納得です。ご自分の研究分野かつ、この美術館にフェルメールを見に来る人だって“ATTORIBUTED”でない、2枚を見に来る人が大半だと思うのです。
福岡氏の著作によれば、このウィーロック氏の生涯の夢は、“ATTORIBUTED”の2作品から“ATTORIBUTED”を取る、つまりは正真正銘のフェルメールと証明することなのだそう。
…本当にびっくりしましたよ。
このナショナルギャラリーには素晴らしいアートが沢山あるのですが、今日は如何せん時間がないため、ドガもセザンヌもモネも涙を飲んで諦めました。
そしてこちらには、ダ・ヴィンチもある!
“Ginevre, de' Benci”
額の裏も素敵。
素敵なガーデンコートも早歩きで通りすぎ、、、
優雅に模写するマダムが大変羨ましい…
結果、フェルメールには会えましたが、1時間と少しでナショナルギャラリーを見ようなどとは無謀もよいところでした。
夫と落ち合い、何をみたのか?と尋ねると変な甲冑とかアメリカの家具とか見たと言っておりました。
…しゅ、趣味が合わない。。。
一応、「ダ・ヴィンチとかあるんだよ、ここ」と伝えると、目を見開いて驚いていました。
「どこ、何処に…どれ?」という夫。手に持った館内図の表紙がダ・ヴィンチだとは気づかなかったのでしょうか。ああ!
そして、ナショナルギャラリーを後にしてまだまだ弾丸の旅は続くのでした。
それでは。