オランダ旅行記④奇才ヒエロニムス・ボス没後500周年記念展@デン・ボッシュ。
こんにちは。
今日から30代の後半戦がスタートしました。
思い返せば、昨年の誕生日は何を思ったのか、当日にNJマラソンを走り、しかもそのレースが散々で、全くトホホな歳のスタートでした(狙い通り、ある意味で忘れがたい1日にはなりましたが)。
NJでは4時間27分だったんですよね。そして先日のロッテルダムでは、3時間58分。1年で30分弱、タイムが縮まっている。
ここから先は、1分縮めるのがいばらの道だとは分かっていますが…
よし、言ってしまおう!
yamakoは10月9日のシカゴマラソンで3時間50分切りを目標にします!
…そして、30代後半をかけて、ボストンクオリファイを達成すべく走ります!
ちなみに40歳のBQは3時間45分。余裕をみて3時間43分辺りを出さなければいけないでしょうね。。。
…無謀ですねー。まさに無謀!
でもあれだけ無理だと思っていたサブ4だって叶ったのですから、諦め悪く頑張りたいと思います。
以上、30代後半の誓い、おしまい。
さて、今日はオランダ旅行記④で、いよいよ最終日に訪れたデン・ボッシュです。
◆最終日
ユトレヒトのB&Bをあとにして、この旅の最終目的地を目指します。ユトレヒトから電車に揺られて約20分。
s-Hertogenbosch(スヘルトーヘンボス)、通称:デン・ボッシュ。
ベルギーとの国境近くのこの街は北ブラバント州の州都です。
何故、遥々この古都にやってきたかといえば500周年だからです。
今年はこの都が産んだルネサンス期の奇才、ヒエロニムス・ボス没後500年にあたる年。
このデン・ボッシュに、彼の作品が一同に会する大展覧会が開催されているのです。私はそちらにやってきたのでした。
☆ヒエロニムス・ボス(自画像)
なにせ500年も前の人物ですから、分かっていることは多くありません。教会などの記録から、画家の一家に産まれ生涯をデン・ボッシュで過ごしたこと。裕福な家の妻を貰ったこと。。。
そして現存する彼の作品は約30点。フェルメールばりの寡作の画家です。NYはメトロポリタン美術館にも1枚ありますが、現存するうち10枚程がスペインのプラド美術館に所蔵されています。これはフェリペ2世が大変なボス愛好家だったからとか。
☆“聖アントニウスの誘惑”リスボン美術館@ポルトガル所蔵
☆“快楽の園”プラド美術館@スペイン所蔵
緻密な作品。その特徴としては、摩訶不思議な化物、悪魔が画面上に登場することで、例えば、
人を食べちゃってるのや、
人を乗せて空を飛んじゃってるのや、
こんなの。。。
作品を見るたびに色んな発見があります。
500年も前の画家がこんなのを描いていたなんてね、何だか漫画みたいでもあるでしょう?
単なる怪物ではなくて、それぞれに宗教的な意味合いが含まれているんですよ。
それにしても、ボスの頭の中っていったいどうなっていたんでしょうね。。。
駅前から会場である北ブラバント美術館へはシャトルバスが出ていますが、約15分ほどの道のりは、是非歩いてみるのがおすすめ。
何故って?街中がアニバーサリーイヤーに湧いて、街中全部がヒエロニムス・ボスのアミューズメントパークと化しているから。
美術館までの道程、歩いてゆくうちに、期待感が高まっていきます。
左手の茶色の建物はカフェ。食事やお茶をいただきながら眺めるのは向こう岸に配置されたボスの1枚。
広場に面するヒエロニムス・ボスセンター。
中心の広場。こちらでは毎日市がたっています。かつては織物産業で大変栄えた街だったそう。
街中にひょっこりと現れるボスの作品のオブジェ。
ショップのウィンドーもボスの作品に登場するシュールな化け物のフィギュアが飾られていたり、
レストランもボスに因んだ特別料理。うーむ、54ユーロね、結構いいお値段。
ボスのアミューズメントと化した街中を歩くこと15分。目的地に到着しました。
☆北ブラバラント美術館
11時の開館に合わせてやってきました…が、既に人だかりが。
美術館に行く道すがらも、明らかに皆、こちらを目指して歩いているので、全く地図は必要ありませんでしたし。
ゆとりのありそうなシニアカップルの姿が目立っていました。いいなぁ、歳とっても素敵な旦那様とふたりで美術館デート…。
これは出遅れたかな、、、
と慌ててチケットを購入しようとするも、係りのマダムは、
12時からのでいいかしら?
とな。。。
えっ?時間入場制なの?!今からのチケットはもうないの?
地方の美術館だからって全く舐めていました。それが間違い。。。
この世紀の大展覧会は大人気で、これは帰宅してから知ったんですけど、6月の展覧会終了までのチケットは既に全て完売していて、私が手にしたのは辛うじて当日販売してくれていた分のチケットだったらしい。しかも当日券ない日もあったみたい…。(なにげなく 美術館HPを開いて知りました…)
ひゃー、危なかった…。
デン・ボッシュまで遥々出かけて、館内にも入れなかったなんて恐ろし過ぎる…。
これは12時のチケットが手に入ったらだけ大ラッキーというものでしょう。英語のサイトだからって横着して斜め読みは駄目ですね…。反省。
1時間、時間が空いてしまいましたので、仕方なく横のカフェでお茶です。
ボシュ・ボーレンと紅茶。
こちらのシュークリームみたいなお菓子、デン・ボッシュの名物だそう。皮はシュークリームより集め、クリームはさすがの乳製品で美味、チョコレートは舌が焼けるほど甘かった。。。
それから持参していたボスの解説書を再読して予習を。
3月に日本に帰ったときに何冊か購入して一気に読んでいます。
実は私、このヒエロニムス・ボス、あんまり知らなかったんですよね。
うーん、なんかシュールな絵…
と存在は知っていたけれど、あまり意識したことはなく。
今回、こちらの大展覧会を知ったのはラン仲間のIさんからの情報なのです。
ロッテルダム走りにオランダに行くなら、デン・ボッシュでヒエロニムス・ボスを見てきたらいいよ。
そう私に教えてくださったIさんは、NYの前にフランスに二度駐在されていて、流石にヨーロッパにお詳しい。特に美術に造詣が深い方なので、正直私のにわか知識が恥ずかしいです。。。
そして作品が生まれ故郷に“一同に会する”というのが、なにより私の気持ちを引きました。
個人的に、一度にあるテーマについて多くを見聞きすることは物事への理解を速めると思うからです。
よし、ロッテルダムマラソンの旅のサブテーマはヒエロニムス・ボスで決まり!
決めてしまったら早いもので、早速に路線図を調べ、宿を検索し出したのでした。
それで、デン・ボッシュの宿が大混雑&高騰しており、取れずにユトレヒト…、だったんです…。
指定時間の12時から1時間半、集中してボス展を見て回りました。
※写真はNGです。
祭壇画などが多いため、大作揃い。そしてひとつひとつが綿密で細かい。
前述しましたけど、登場するどことなくユーモラスでもある化け物たちもひとつひとつ、宗教的な意味合いを含んでいるのです。
作品には悪魔の象徴としての邪教、妖術に対してと同じように、その時代の教会や修道会の腐敗に対する告発の意味も含まれているとか。
貸出のあるオーディオガイドは日本語などありませんから、持参したボスの解説書片手に作品を鑑賞しました。
実際に見ると写真では気づかない細かなディテールが分かり、何だか宝探しのような、謎解きのような面白さがありましたよね。
これは、チケットが即売してしまう程の人気があることにも頷けました。
私もボスがなんだか好きになりました。
大満足で会場を出て、本当は併設されているレストランでランチでもいただきたいところですが、私には時間がない。夕方5:00の飛行機に乗って、NYに戻らねばならないのです。
※素敵な中庭の向こうに、更に素敵なレストランが…。
デン・ボッシュからスキポール空港までは1時間に2本の直行があり、約1時間というのは、朝、駅でチェック済みでした。
余裕も大分あるよね、、、
とカフェのビールで喉を潤し、ご機嫌で駅に到着すると、乗車するはずだった電車がない…!
これには焦りましたよね…。慌ててインフォメーションに駆け込んで、どういうことか尋ねると、事故だそう。
ダイレクトはしばらくないというので、1番早くスキポール空港に行く方法を教えて欲しい、とかなり焦っていました。
オランダやドイツの鉄道スタッフは、アメリカみたいないい加減な感じではなく本当によかった。セーフ。
最短の乗り換えについて、迅速に検索をかけ、更にプリントアウトしてくれるという親切ぶり。
結局、当初とは逆回り、ブレダ(Breda)乗り換え、まさかのロッテルダム(再び!)経由でスキポール空港に行く羽目になり、時間は待ち時間を合わせて1時間半のロス、チェックインギリギリの到着に。
更に悪いことに、KLMのグランドスタッフが不慣れ(新人か?)で、結婚による改姓履歴のある私のパスポートに混乱し出す始末…。
更に自分の業務知識不足を棚上げした上、あまりに態度が悪いので、私、遂には喧嘩しましたね…。
これ迄、英語で喧嘩したのは、一度だけ。
忘れもしません、あれは2013年NYCMの後、急性腸炎で入院した病院。寒さ極まる廊下に1時間放置された時以来。
あの時は生命の危機を感じましたからね、本気で病院に怒りました。あれ以来ですよ、英語で喧嘩…。
結局、上司が変わったら、あっさり手続きが出来て、飛行機には乗れたんですけど、、、。
当の本人は自分が何を思い違いしていたのか最後まで理解していなかったし、謝りもしませんでしたね。
変わりに上司に謝られてもね…。
最後の最後でくたびれ果てました。
その他のKLMのスタッフは、CAもグランドホステスも感じが凄くよかっただけに本当に残念。。。
旅の最後がそんながっかり、だったんですけど、帰りの飛行機では飲めますからね!(行きは勿論禁酒)
約7時間のフライト中、ビールやらワインを飲み、機嫌はNYに着くまでにはすっかり回復したのでした(笑)
これでオランダ旅行記はおしまい。長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。次回は番外編でyamakoのオランダビール紀行です。(本当に)
それでは。